お口にチャック

お口にチャック、私がよく、つぶやいた言葉です。

心の中に浮かぶ言葉を、誰かに話すこともなく呑み込みこみます。

呑み込んでも吞み込んでも、言葉があふれて来る時、

新聞の折り込みチラシが無地の物を探して、

誰かに書いているのか、自分に書いているのか、分からないまま鉛筆を走らせます。

そして、ある程度たまったら捨てる。

誰かに見られたら恥ずかしいし、意味のないものとして残したくはなかったのです。

還暦を過ぎて、幼いころに思い描いた夢がずーっと、私の心の中にあったことに気づきました。

お口のチャックを開けてブロブを始めることにしました。

蝶のように、ほんの少しだけ空を飛んでみたくなりました。